卵巣のう腫

著書「女性のためのメディカルブック」から

卵巣のう腫について

Q・・・19歳の娘のことですが、最近右側の下腹部痛があって内科を受診しました。

超音波の検査で卵巣のう腫と言われ、手術が必要なので婦人科受診を勧められました。

本人は受診を嫌がります。

手術はどのようにするのでしょう。

A・・・10代の後半から左右のいずれかの下腹部痛があるために超音波、CTなどの検査で卵巣の腫瘍を指摘されるのは珍しいことではありません。

このような場合、一番のポイントは、腫瘤(しゅりゅう)が悪性か良性か、また腫大傾向にあるものか否かが大事です。

卵巣は、人の臓器の中では一番多種類の腫瘍が発生する場所です。

卵巣ガンの発生する臓器でもあります。

現在、まだ決め手となる制がん剤がないために、卵巣がん患者の運命はいかに早期に発見するかにかかっているともいえます。

従って、問題の卵巣のう腫も悪性の可能性の有無が極めて大事です。

幸い、超音波検査の手技は随分と進歩してきていますし、MRIやCTも検査として使えます。

術前に悪性の可能性の判定もかなりできるようになりました。

また、血液中の腫瘍マーカー(ガン細胞が体内に存在すると増加する物質の総称)を測定して判定もします。

さらに判断に困った場合は放射性同位元素を用いたガリウムシンチレンションカメラを用います。

指摘の卵巣のう腫は良性のものですが、手術は①超音波検査下に穿刺(せんし)排液をして終了する方法②腹腔鏡下にのう腫の摘出を行う方法③開腹手術を行って腫瘍の摘出を行う方法があります。

それぞれに長所短所があります。

もちろん卵巣がんの場合には③のみとなります。

本人の希望などから今回は①の方法で良いと思います。

数日間の入院と手術の所要時間も数分間で終了します。

また、傷あとも全く残りません。

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