近年、女性の社会進出が目覚ましいです。
そのためか、高齢で妊娠、出産される方も増えています。
全体の28%が「35歳以上の出産」というデータもあります。
10人の妊婦さんのうち、3人は高齢出産にあたるわけです。
そんな中、生殖医療はどうなっているのでしょうか?
その1つに、着床前診断というものがあります。
簡潔に説明すると、著書「35歳で妊娠が分かったら読む本」から、
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日常的にNIPTの業務の中で大事なことですが、着床前診断というものがあります。
これは、体外受精を行なった卵が、桑実胚(だいたい18〜20個くらい)細胞が分裂した状態の時に、桑の実のように細胞がくっついた受精卵の1つの細胞をレーザーで切り取ります。
切り取った細胞の遺伝子の検査をすることによって、その受精卵がそういった遺伝子の異常を持っていないかどうか。
それから性別はどうか。
ということも一緒に調べて結論を出すこともできます。
これは、日本も比較的同じ状況にあると説明をされていました。
NIPTと比べて、着床前診断は受精卵の1つの細胞から遺伝子の検査をするのでより精度が高いと言えます。
まずは、排卵直前の卵を採取します。
薬を使って排卵の準備をするとき、これらの卵は一斉に排卵の準備に入るので、一気に5〜7個くらいの細胞を取ることができます。
そうすると、5〜7個くらいの細胞を一気に検査することができるのです。(それぞれ1つずつに検査費用はかかります。)
一気に検査することで、7個中5個は男性の細胞で、遺伝子の異常を持っていない細胞である。
あるいは、2つは女性の細胞で遺伝子に異常があるものが1つある。
というような検査結果を得ることができた。
今回、女性の子どもを希望する親御さんの場合、女性の細胞で受精卵に異常がない方を子宮の中に戻すというようにして、着床させます。
そうすると、残りの細胞はどうなるのかというと、遺伝子に異常がある細胞はそのまま次回妊娠に使う機会は無いが、男の子の細胞が4つ、女の子の細胞が1つある。
その残った細胞を2年ないし5年の間に、また希望に応じて子宮に戻してあげて、次の妊娠出産に使うこともできるわけです。
卵の保存期間というのは、ある程度研究が進んでいますが、数年間でダメになることはありません。
冷凍保存をしています。
振り返って、日本の社会情勢を見ても、やはり高齢で妊娠される方の場合の遺伝子の検査をお母さんの血液を使って行う。
それから、だいたい120万人の赤ちゃんが毎年日本で産まれるわけですが、そのうちの約1割、12万人は体外受精で産まれてきている現状なんです。
この12万人の子どもたちの遺伝子の検査を、日本で行われているかというとほとんど行われておらず、そのまま子宮に戻しているだけになっている状況だと表面的には、そのように思えます。
この遺伝子検査を受けて、卵を戻す・戻さないという論議は、非常に難しい問題なので、実際は検査を行なっているけれど、その情報を公表していない不妊クリニックがたくさんあるのだと私は思います。
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着床前診断は、受精卵の時点で遺伝子を調べるということで、新型出生前診断同様、議論されています。
ただし、晩婚化が進んでいますし、若いうちは自分の好きなことをやりたいと思う方も多いですから、
女性の場合、若いうちに卵子を採取しておき、それを冷凍保存しておく。
そして、結婚して、子どもが欲しいとなれば保存しておいた卵子を受精させて、妊娠、出産を行なっていくことも可能だと言うことです。
受精卵の状態で、性別も分かるようですから、夫婦または家族の希望に沿って、言い方は雑ですが産み分けをすることができます。
こうした、若いうちに卵子を保存しておくという考えは、効率的に思えます。
将来的に妊娠出来ない体になる可能性は無くはありません。
近年では、若くしてガンになる方も増えていますから、いつ子どもを産めない体になるか分かりません。
妊娠中に、卵巣腫瘍が見つかることもあります。
その中で、お腹の子どもの異常があるかどうか調べたいと思っても不思議ではありません。
やはり、夫婦二人の子どもが欲しいと思いますし、人類もこうして繁殖してきていますので、子孫を残したいと思うのは当然のことだと思います。
ただし、こうした生殖医療が進歩する中で、倫理観というもので、
男女差別であるとか、障がい者差別、クローン人間のようだと言われることは目に見えています。
しかしながら、生殖医療というのは、私たちの命を次の子孫に託すためのバトンパスのようなものであり、それが出来るだけ望み通りにしたいという思いは、昔は理想であったと思うのです。
その理想が、医療の進歩によって実現されつつある。
これは、受け入れざるを得ないことです。
国民の全てが、こうした検査をする必要は全くありません。
希望される方が、受ければ良いと思います。
ただし、そうした自由な選択権を奪うような、社会的圧力、批判は無くさなければならないと思います。
そもそも、新型出生前診断の条件としては、35歳以上であることとされています。
現在は、30歳くらいから受ける方が多いようです。
安易な考えで中絶が為されていると言われますが、この検査が未成年が行うものであれば、それはやはり安易な考えになったり、成人による圧力などに屈してしまう危険性があります。
ただ、新型出生前診断は成人して、いわば社会人として活躍されている女性が受けるものですので、安易な考えには至らないと思いますし、個人の選択は自己責任で行うものだと思います。
その中で、偏った考え方を持っている。
それを是正することは、良いことだと思います。
ただ、こうしたさまざまな考え方であったり、情報というものが全く開示されない状態であることが、妊婦さん、ご主人を混乱させているのです。
早急にこうした検査のガイドラインを作らなければなりませんが、明日出来るようなものではありませんので、私たちが、私たちで理性を保ちながら、選択していかなければならないタイミングにあります。
そもそも、日本では新型出生前診断を受けている方は、全体の2%程度です。
これが、ガイドラインなどの指針を早急に作らなければならないという焦りに繋がっていないとすれば、
この先、まだまだガイドラインは出来ない気がします。
そうこうしている間に、私たちは本来自由に受けられる検査が受けられず、
後悔してしまう。
これが、悲劇なわけです。
あの時、こうしておけば良かったと思う医療は、存在してはいけないと思うのです。
医療は、常に私たちの生活、そして命と大きく関わっているからです。
医療が受けられないということは、命に関わることなのです。
物事の大小によって、その重要度は変わってきますが、
ですから、社会的圧力によって新型出生前診断や着床前診断が受けにくい状況になると、
これは、医療が受けられない状態を作り出し、
希望する人たちの生活、命にまで直結していくと考えると、
それこそ、安易な考えで検査の異議を唱えたり、その検査を受ける方を批判すること自体、おかしなことになるのです。
人それぞれ考え方があるので、仕方ないと思う部分もあります。
しかしながら、希望する人が望み通りの医療を受けられる。
これこそが、医療の恩恵を受けるということでは無いでしょうか。
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