妊娠していると分からずに、膀胱炎の薬などを服用してしまった。
こういうケースはよくあることです。
月経不順で、規則正しく生理が起きていない場合は、妊娠に気付かないことも多いのです。
中には、薬物の服用によって赤ちゃんに大きな影響があるから中絶をした方が良いのか?
真剣に悩み、相談する妊婦さんがいます。
まずは、こうしたケースはどうするのか?をみていきます。
著書「産婦人科で聞きにくい妊娠の医学」から
------
妊娠初期の薬物服用について
Q・・・現在妊娠3ヶ月です。
初めての妊娠ですが、妊娠していることが分からず、膀胱炎の薬を薬局で購入して服用しました。
赤ちゃんに対する影響が心配です。
中絶すべきでしょうか。
A・・・妊娠初期に妊娠していることが分からずに薬を服用し、奇形に対する心配のために相談を受けることが、最近では多くあります。
しかし、胎児の奇形発生要因は複雑です。
先天異常の原因は、遺伝に関するものが20%、ビールス感染・レントゲン・薬剤などの環境に関するものが10%、その他はこの遺伝と環境に関するものの相乗が原因と言われています。
妊娠12週ころまでは脳、心臓、耳、目といった各臓器の形成期間で、発生上非常に奇形を起こしやすい時期で臨界期と呼ばれます。
妊娠4ヶ月未満の時期には、レントゲン検査、ビールス感染、薬剤のために催奇形作用を生じやすいので最も注意が必要な時期です。
風疹、サイトメガロビールス、ヘルペスなどのビールス感染やトキソプラズマ感染もこの妊娠初期の臨界期は特に注意が必要です。
薬は、現在かなり奇形発生に関する研究が進んでいますが、一般的にはペニシリン及びペニシリン系の薬以外は注意が必要です。
また精神安定剤、ホルモン剤、抗がん剤は危険です。
レントゲンは母親の胸部レントゲン検査で胎児は約0.01ミリラド被爆します。
胃透視では母親は約20ラド被爆し、胎児は7ラド程度被爆すると思われます。
しかし、10ラド以下の被爆では奇形などは生じないと言われています。
以上のように、胎児を取り巻く環境は危険なものだらけですから、母親の自覚を十分に持ち、安易に薬を服用しないようにしましょう。
必ず医師に相談してください。
------
新型出生前診断を受けて陽性ならば中絶する妊婦さんと、
妊娠を知らずしても、薬を服用して赤ちゃんの発育が悪い、奇形が見つかるから中絶する。
これは、別物なのでしょうか。
妊娠していると自覚しているかどうかで、批判の対象は変わるのでしょうか。
新型出生前診断を受ける方の中には、こうした妊娠に気付かず発覚が遅れたため、お腹の子どもが遺伝子的に悪影響を受けていないか確認したいと思う方もいます。
高齢出産というのは、とてもシビアです。
不妊治療を始め、ようやくできた子どもというよりかは、
そもそも不妊治療が必要な体の状態、卵子または精子の状態であったので、
やはり、先天異常というものが気掛かりだと思うのです。
世の中には、新型出生前診断を受けずに中絶をされる方もいます。
しかしながら、新型出生前診断を受けたということで、その中絶が問題だと言われるのは、当事者である妊婦さん、夫婦の心理的負担は非常に大きいと感じるのです。
この薬物服用から言えることは、
やはり、倫理観や偏った考え方が強く根付いてしまっているのだと思います。
しかしながら、あなたにもし子どもが出来たならば、
先天異常が無いことを願うのでは無いでしょうか?
生まれる前から、「染色体異常の子どもが産まれて来て欲しい。」と考える方は、どのくらいいるでしょうか?
今の偏った考え方の極みは、
「高齢で妊娠が分かったら、染色体異常の子どもが産まれることを望め!」
と言っている感じもします。
それは、新型出生前診断で陽性だったら産まないという選択の対義にある考えだからです。
私たちは、命を選ばずに産んで欲しいという気持ちを持っています。
それは、選択的中絶をした妊婦さん、夫婦もそう思っていたはずです。
しかし、いざ自分の身になると、やはり冷静になって考えることは、どれだけ難しいことか分かると思うのです。
視点を変えてみれば、どの意見も正しく見えるわけで、だからこそ妊婦さんと夫婦が受けるかどうか自由に選択できると思うのです。
車を購入して、必ず入らなければならない保険があるのと同じで、
妊娠したから、必ず受けなければならない検査に新型出生前診断は入りません。
だからこそ、妊婦さんと夫婦の価値観だったり、ものの見方で自由に選択するしか方法はないと思うのです。
これを、選択的中絶を無くすために新型出生前診断を受けられないようにすれば、
反対に、
「高齢で妊娠したけど、検査を受けられないならお腹の子どもに異常があるかどうか分からないから、異常があったら嫌だから、中絶する。」
というケースが出てくると思うのです。
本当は、異常がない場合でも中絶を促してしまうことになります。
やはり、新型出生前診断を受けることで、どんな社会的サポートを受けられるのか?
どのように育てていけば良いか?を明確に提示してあげること。
陰性の場合は、高齢出産でも安心できます。
大事なのは、検査を通して、もっともっと妊婦さんと夫婦のための「情報」を届けることにあるのです。
遺伝カウンセリングより、どういうサポートが受けられるのか?どのように育てればいいのか?という1つのモデルを提案した方が、本当の意味で、どんな命も選ばずに産むことができるのでは無いでしょうか?
伝えたい先進医療がある。 ソーシャルイノベーター 前進夢の特設サイト
新型出生前診断などの生殖医療とガン治療について先進医療の正しい知識と情報をお届けする特設サイト
0コメント