記者やジャーナリストは、新型出生前診断は中絶のための検査だと言い放っている。
たしかに、日本では新型出生前診断で陽性の場合、90%以上の妊婦さんが中絶をしている。
新型出生前診断は、そもそも日本のみで行われているものではありません。
イギリスなどのヨーロッパ、アメリカなど、様々な国で行われています。
「世界中で、新型出生前診断を実施している全ての国が中絶の割合が高い。」
というデータがあれば、新型出生前診断は中絶のための検査です。
しかし、アメリカでは約60%。
日本は90%以上。
この差は、なんの差か?
国民性?人口の問題?
これは、「障がい者が生きやすい社会かどうか」なのです。
アメリカでは、障がい者雇用が安定していて、障がい者でも健常者と同じように働き、同じような給与をもらえます。
日本ではどうでしょうか?
障がい者が出来る仕事は限られ、その割には給与は少ない。
障がい者は、自分の生活を成り立たせるためにお金がかかります。
それなのに、給与はもらえない。
多くの障がい者は、こうした不満を募らせています。
一般企業には就職しにくい。
こうした日本社会があるため、新型出生前診断で陽性の場合、中絶をする妊婦さんが多いのです。
中には、障がいをもつ子どもを育てる勇気がない、自信がないだとか、両親に中絶するように強く勧められる、ご主人が単身赴任中で自分一人で育児をするのは体力的、精神的にムリだ。
という場合も当然あります。
しかし、社会という観点から見れば、障がい者に対する社会が以前と同じままなのです。
もちろん、障がい者用の施設、設備は格段に向上しています。
でも、それは障がい者の方たちの普段の生活にはまだまだ及んでいません。
みんながみんな毎日のように外出して、何か消費することはありません。
こうしたことなどを総合的に考えても、
新型出生前診断=中絶のための検査では
無いのです。
では、なぜ中絶のための検査だと誤った認識をしているのか?
それは、私たちが起きた結果にしか対応できていないからです。
「新型出生前診断を受けて中絶する人が多いから、新型出生前診断が悪い!」
という考えしか持ち合わせていません。
しかし、中絶の原因は、日本社会にあったり、夫婦間の問題、親戚の問題などです。
新型出生前診断は、妊婦さんの血液を調べることで、お腹の子どもの染色体を検査することができる、医療テクノロジーです。
こうしたテクノロジーが、偏った思考しか持ち合わせない人達によって、潰されることは、日本社会の崩壊を意味すると言っても過言では無いのです。
私たちは、気付かないといけないのです。
自分たちのことは自分たちでなんとかやっていかないといけない時代になっています。
年金受給額も年々減少していることからも、日本は国民を支えることが出来なくなっている。
この状態で、高齢出産で染色体に異常を持っていても、産むという選択をするのは、
裕福な家庭か、子どもがどうしてもほしい家庭だけだと思うのです。
ですから、中絶することに対して批判することは出来ませんし、中絶するな!産め!という考え方は、やはり夫婦や妊婦さんにとって苦しさを与えるだけです。
私たちは、自分の考えだったり、これまでの倫理観だけで物事を判断してはいけないのです。
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