著書「新型出生前診断の全てがわかる本」から
“ 午前10時。”
山村太郎先生 産婦人科医60才(仮名)の診察室がとても暗い雰囲気に満ち溢れていました。
部屋から見える窓の外では、冷たい風と冷たい雨が降り注いでいた。
「今のこの状況を物語るかのように。」
診察室に来られた患者さんは、金子ちづささん(仮名)、40歳。
金子さんの第1子はダウン症候群。
この子供を抱え、両親はずいぶんと苦労されている状況。
第2子を妊娠されて、現在妊娠14週。
妊娠14週に至るまでの胎児の発育経過は、特に大きな問題はありませんでした。
しかし、新型出生前診断(NIPT)を受けることを決意した。
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新型出生前診断を希望する方の中には、高齢出産の場合だけでなく、
これまでの出産で染色体異常を持つ子を産んだ場合、
妊婦、またはご主人のどちらかないし両方が染色体異常を持っている場合、
様々なケースが考えられます。
ただ単に高齢出産だから、漠然として不安を感じて新型出生前診断を希望する方も居ますが、希望する方の大半は、身近に染色体異常を持つ人や家族がいる場合です。
やはり、大変そうだとか、わたしには到底育てていけそうにない、
仕事と育児の両立は難しい。
さまざまな思いが頭の中をグルグル回るわけです。
やはり、新型出生前診断が陽性でやむを得ず中絶する場合というのは、
夫婦にしか分からない想いがあるのです。
それに寄り添うのが、検査施設であり、医師なのです。
社会的批判もある新型出生前診断を行う現場の医師の多くは、
頭を抱えているようです。
社会的なサポートとして、お腹の子をどうやって育てていけば良いか1つのモデルのようなものを提案することができない。
かといって、中絶を勧めることは、医師としてあってはならない。
一時期、無認定施設で新型出生前診断を受けて、結果が郵送で送られただけで何もフォローが無かったことがあり、夫婦を路頭に迷わすことが起きました。
フォローをしなかったというより、フォローをすることが難しいとも捉えることができます。
検査結果に応じて、皆が皆同じような選択をすれば良いものであれば構いませんが、新型出生前診断はそうは行きません。
そのため、新型出生前診断についてのルール作りを早急に進めていかなければなりません。
しかしながら、日本での普及率は妊婦さん全体の2%ほどです。
ルールを作るにしても、まだまだデータが少ない現状で、ルール整備は進まないものです。
現在のところ、
認定施設で受検すること。
35歳以上の妊婦さんなどが対象。
とルール整備というより、対象者の限定が主になっています。
受検のハードルが高くなるばかりで、条件のない無認定施設に流れてしまっている。
言ってしまえば、無法地帯化しています。
ルール整備が進むことを願いながら、無認定施設で新型出生前診断を受けるにしても、どこで検査を受けるかしっかり考えるべき状態になっているのです。
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